TOPIC / オーバーローン
住宅ローンが残っている家は、どう分けるのか
「ローンが残っているから、この家には価値がない」。本当にそうでしょうか。残債と時価のどちらが大きいかで結論は正反対になります。そしてそれは、時価を確定しなければ判定できません。

このページの結論
- 家の時価からローン残債を引いた金額がプラスなら(アンダーローン)、その差額が財産分与の対象になるのが一般的な扱いです。
- マイナスなら(オーバーローン)、その不動産は分与すべきプラスの財産とはいえないとする扱いが実務では一般的です。
- 残債は残高証明書で確定できますが、時価は資料によって数百万円単位でぶれます。判定の成否は時価の精度にかかっています。
- 「残債より高く売れるかどうか微妙」なケースこそ、根拠のある時価が必要です。
まず、引き算の式を確認する
財産分与で住宅ローン付きの家を考えるときの基本の式は単純です。
家の時価 − ローン残債 = 実質的な価値(純資産)
この答えがプラスならアンダーローン、マイナスならオーバーローンと呼ばれます。プラスの場合、その差額を夫婦で分けるのが基本的な考え方です。たとえば時価3,500万円・残債2,000万円なら、実質的な価値は1,500万円。家を取得する側が、相手に750万円の代償金を支払う、というのが出発点になります。
マイナスの場合、その不動産は分けるべきプラスの財産とはいえません。実務では、オーバーローンの不動産は財産分与の対象から外し、残ったローンは名義人が返済を続けるという扱いが一般的とされています。ほかに預貯金などのプラス財産がある場合に不動産のマイナス分を通算できるかは、法律上の論点です。
差額+1,500万円→ この純資産が財産分与の対象になります
※ 説明のための仮の数値です。
差額−400万円→ 実質マイナスの財産として扱われるのが一般的です
※ 通算の可否など具体的な扱いは弁護士にご確認ください。
時価が動くと、判定がひっくり返る
残債はローンの残高証明書を取れば1円単位で確定します。問題は時価のほうです。依拠する資料によって、同じ家の「時価」は大きく変わります。
| 時価の資料 | 金額 | 純資産 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 固定資産税評価額 | 1,600万円 | −1,200万円 | オーバーローン |
| A社の査定書 | 2,600万円 | −200万円 | オーバーローン |
| B社の査定書 | 3,100万円 | +300万円 | アンダーローン |
※ 説明のための仮の数値です。
この例では、どの資料を信じるかによって「分けるべき財産が300万円ある」のか「対象外」なのかが変わってしまいます。オーバーローンかどうかが微妙な水準にあるケースほど、時価の精度が結論を左右します。
自分に有利な査定書を互いに持ち寄って主張が対立する、というのが典型的なこじれ方です。第三者の立場で作成された評価があれば、この対立を金額の議論から外すことができます。

残高証明書と物件の資料をご用意いただければ、オーバーローンかどうかの判定に耐える時価の算定方法をご提案します。判定が微妙な水準かどうかは、ご相談の段階でおおよその見当をお伝えできます。
オーバーローンの判定を相談する初回相談無料/ご相談内容を相手方に伝えることはありません
よくある3つのパターン
- ①売却して精算する:アンダーローンなら、売却代金でローンを完済し、残りを分けます。実際の成約価格で精算するため、評価の争いは比較的小さくなります。ただし売り出し価格の設定には時価の把握が必要です。
- ②一方が住み続け、代償金を支払う:売却しないため市場価格が観測できず、評価の争いが最も起きやすいパターンです。時価の確定が代償金の計算の出発点になります。
- ③オーバーローンのまま名義人が住み続ける:不動産は分与の対象外とし、ローンは名義人が返済を続ける形です。ただし本当にオーバーローンなのかの確認が前提です。実は値上がりしてアンダーローンになっていた、というケースもあります。
いずれのパターンでも、出発点は同じです。時価がいくらなのかを、根拠をもって確定させること。そこが曖昧なままだと、どの選択肢の議論も前に進みません。
よくあるご質問
ローンの残債はどうやって調べますか。
金融機関から毎年送られてくる残高証明書、または返済予定表で確認できます。手元にない場合は、借入先の金融機関に残高証明書の発行を依頼してください。ウェブサイトで確認できる金融機関もあります。
オーバーローンだと財産分与はどうなりますか。
残債が時価を上回る場合、その不動産は分与すべきプラスの財産とはいえず、財産分与の対象から外れるという扱いが実務では一般的とされています。ほかにプラスの財産がある場合の通算の可否など、具体的な扱いは法律上の論点になるため弁護士にご確認ください。
夫婦のどちらも住み続けたい場合はどうなりますか。
どちらが取得するか、代償金をどうするか、ローンの名義や連帯保証をどう整理するかといった論点が絡みます。これらは法律・金融の判断を要するため、弁護士や金融機関との調整が必要です。当方は前提となる時価の算定を担当します。
ペアローン・連帯債務の場合も同じですか。
時価と残債総額を比較するという判定の枠組みは同じです。ただし、名義・持分・債務の負担割合が絡むため、清算の設計はより複雑になります。資料を揃えたうえで弁護士にご相談ください。

鑑定が必要かどうかの確認だけでも構いません
物件の内容と手続の状況をうかがい、どの資料が必要か、費用はいくらかをお伝えします。必要がなければその旨をお伝えします。初回のご相談は無料です。