財産分与の基礎

離婚で家を「売る」と決める前に確認したい5つのこと

「売って分ければ公平」は本当か。売却で財産分与を終える前に確認しておきたい、残債・税金・売却費用・タイミング・住み続ける選択肢の5点を整理します。

著者:吉田 健人·読了 約3
離婚で家を「売る」と決める前に確認したい5つのこと

離婚に伴う自宅の処理で、「売却して代金を分ける」のは最もわかりやすい方法です。成約価格という客観的な数字で精算できるため、評価をめぐる争いも起きにくい。ただ、売ると決める前に確認しておきたいことが5つあります。

1. 残債と手取りの関係

売却代金がそのまま分配原資になるわけではありません。住宅ローンの残債を完済し、仲介手数料や登記費用などの売却費用を差し引いた残りが、分ける対象です。

残債が売却見込み額に近い場合、売却しても手元にほとんど残らない、あるいは足りない(オーバーローン)という事態があり得ます。売る・売らないの判断の前に、残高証明書で残債を確定し、時価の目安を把握してください。

2. 譲渡所得税がかかるか

購入時より値上がりして売れた場合、値上がり益に譲渡所得税がかかる可能性があります。マイホームには3,000万円の特別控除など有力な特例がありますが、適用には要件があります。売却のタイミングや名義によって税額が変わり得るため、売る前に税理士に確認しておくのが安全です。

3. 売り急ぎは価格に跳ね返る

「早く関係を清算したい」という心理は、売却価格に影響します。売り出し価格を市場水準より低く設定したり、最初の買付にすぐ応じたりすれば、成約は早まりますが手取りは減ります。減った分は双方の取り分から半分ずつ消えていきます。

適正な時価を先に把握しておくと、「この価格なら応じてよい」という判断基準を持って売却活動に臨めます。

4. どちらかが住み続ける選択肢と比較したか

売却は不可逆です。特にお子さんがいる場合、住環境の変化は金額に表れないコストになります。一方が住み続けて代償金を支払う方法と、売却して分ける方法を、金額を並べて比較したうえで決めているでしょうか。

代償金方式の検討には家の時価が必要です。「代償金をいくら払えるかわからないから売るしかない」という結論になっているなら、先に時価を確定させることで選択肢が広がることがあります。

5. 売却の合意は書面に

共有名義の場合、売却には双方の協力が不可欠です。売り出し価格、値下げの判断基準、費用の負担、代金の分け方。口頭の合意のまま売却活動を始めると、途中で条件をめぐって再び対立することがあります。合意内容の書面化は弁護士にご相談ください。


売る・売らないの判断も、売り出し価格の設定も、代償金との比較も、出発点はすべて「この家はいくらなのか」です。当事務所では、売却判断の材料としてお使いいただける価格等調査報告書(10万円〜)をご用意しています。

免責事項

本記事は不動産鑑定評価の観点からの一般的な情報提供を目的としています。個別の税務に関する助言は税理士、法務に関する助言は弁護士など各専門家へお問い合わせください。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、最新の制度・判例等により取り扱いが変わる可能性があります。

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